· レガッタナビ編集
ローイング用語集
入部して最初のひと月は、先輩が何を言っているのか半分も分かりません。「今日フォア乗って」「レート22で」「B決勝からな」。自分も1年生の春はそうでした。ここでは、艇の上と陸で飛び交う言葉を一通り並べます。
スイープとスカル
最初に押さえるのはここだけです。1人でオールを1本持つのがスイープ、2本持つのがスカル。種目名はほぼこの区別でできています。
エイト、フォア、ペアはスイープ。シングルスカル、ダブルスカル、クォドルプルはスカル。名前に「スカル」と付いていない種目のうち、クォドルプルだけは例外的にスカル種目なので、最初は戸惑うかもしれません。
種目の一覧
全日本級の大会で行われる主な13種目です。タイムは当サイトが収録している2009年以降・全日本級5大会の中での最速。国内の公式記録ではなく、あくまで収録範囲での数字です。種目名をクリックすると歴代の記録一覧に飛べます。
| 種目 | 人数 | オール | 収録内の最速 |
|---|---|---|---|
| 男子エイト | 8人 | スイープ | 5:39.04(トヨタ紡織・2023年) |
| 女子エイト | 8人 | スイープ | 6:23.33(デンソーオルカリス・2024年) |
| 男子舵手つきフォア | 4人+舵手 | スイープ | 6:22.69(明治大学・2023年) |
| 女子舵手つきフォア | 4人+舵手 | スイープ | 7:10.46(立命館大学・2019年) |
| 男子フォア | 4人 | スイープ | 6:08.52(明治安田生命・2022年) |
| 男子クォドルプル | 4人 | スカル | 6:03.40(日本大学・2009年) |
| 女子クォドルプル | 4人 | スカル | 6:36.38(明治安田生命・2023年) |
| 男子ダブルスカル | 2人 | スカル | 6:26.60(アイリスオーヤマ・2015年) |
| 女子ダブルスカル | 2人 | スカル | 7:13.37(トヨタ自動車・2019年) |
| 男子ペア | 2人 | スイープ | 6:46.94(NTT東日本・2025年) |
| 女子ペア | 2人 | スイープ | 7:33.68(慶應義塾大学・2017年) |
| 男子シングルスカル | 1人 | スカル | 6:57.71(ダイキ・2009年) |
| 女子シングルスカル | 1人 | スカル | 7:48.39(アイリスオーヤマ・2019年) |
このほか、舵手つきクォドルプル、舵手つきペア、パラローイング(PR1・PR3)、マスターズの年齢別種目も大会によって行われます。
舵手(コックス)
漕がずに舵を取り、コールでクルーを動かす役。英語のcoxswainを略してコックス、あるいは略さず舵手と呼びます。エイトには必ず乗り、フォアには乗る種目と乗らない種目の両方があります。
種目名で「舵手つきフォア」とあれば舵手あり、単に「フォア」なら舵手なし。海外表記だと「4+」と「4-」で、プラスが舵手つき、マイナスが舵手なしです。数字は漕手の人数なので、4+は舵手を入れて5人が乗ります。当サイトでは舵手なしの種目名から「舵手なし」を省いて「男子フォア」「男子ペア」のように表記しています。
軽量級
体重制限のあるクラスです。国際規定では男子が個人72.5kg以下・クルー平均70.0kg以下、女子が個人59.0kg以下・クルー平均57.0kg以下。ただし国内大会は規定が異なる年もあるので、出る前に必ず要項を見てください。計量はレース当日の朝に行われるのが一般的です。
Final AとFinal B
エントリーが多い種目は、予選を勝ち上がった上位6艇でFinal A(A決勝)を漕ぎます。優勝が決まるのはここ。次の6艇がFinal B(B決勝)で7〜12位を争います。「B決勝」と言われて落ち込む1年生は毎年いますが、A決勝に乗れなかっただけで敗退ではありません。
予選で敗れた艇にもう一度チャンスを与えるレースを敗者復活戦(レペチャージ)と呼びます。当サイトが収録しているのはFinal AとFinal Bの結果で、予選と敗者復活は含めていません。全レースを見たいときは日本ローイング協会の公式リザルトが一次情報です。
練習で毎日出てくる言葉
エルゴは室内のローイングマシン(ローイングエルゴメーター)。冬場の陸トレの主役で、2000mのタイムが実力の物差しとして使われます。「エルゴ何分?」は自己紹介みたいなものです。
レートは1分間に漕ぐ回数(spm)。レース中は32〜40くらい、練習の低レートメニューだと18〜22あたり。「レート20で1時間」と言われたら長い練習の合図です。
1本の漕ぎは、オールを水に入れるキャッチ、水中で押すドライブ、抜くフィニッシュ、戻るリカバリーの4つに分けて説明されます。「キャッチが遅い」と言われたら、水に入れる瞬間が周りとずれているという意味です。
強度の呼び方はパドル(全力に近い)とコンスタント(一定ペース)が基本。レース終盤に上げるのがスパートです。
艇まわりの言葉
リガーは艇の外に張り出した金属の枠で、ここにオールを固定します。シートは座席で、レールの上を前後に滑ります(スライド)。足を固定する台がストレッチャー、オールの先端、水を掻く平たい部分がブレード。
乗る位置にも名前があります。舳先(へさき)側からバウ、艫(とも)側の最後尾がストロークで、日本語では整調(せいちょう)。整調がリズムを作り、バウ側の漕手がそれに合わせます。
よくある質問
エイトとフォアは何が違う?
漕手の人数(8人と4人)と、それに伴う速さです。エイトは全種目で最速で、収録データの中では5:39.04(男子)。フォアより30秒ほど速く2000mを走ります。
「4+」と「4-」の違いは?
舵手がいるかどうか。+が舵手つき、-が舵手なしです。
2000mのタイムはどれくらいが速い?
種目と風で大きく変わるので一概には言えません。目安として、上の表の最速タイムが全日本級の頂点です。自分の艇と比べるなら歴代記録や検索で、同じ種目・同じ年の順位帯を見るのが早いです。
レートを上げれば速くなる?
なりません。1本あたりの進みが落ちると、回数を増やしても艇速は上がらないからです。低レートで距離を伸ばす練習が多いのはそのためです。
この記事について
- タイムは当サイト収録の全日本級5大会・2009年以降のデータ内での最速です。国内公式記録ではありません。
- 軽量級の体重規定と大会の実施種目は年度によって変わります。出場前に大会要項で確認してください。
- 用語の呼び方は地域や学校によって差があります。ここに書いたのは戸田周辺で一般的なものです。
用語が分かると、リザルトが読めるようになります。読めるようになると、他大学の艇速が気になってくる。そこまで来たらもう抜けられません。大会結果から、まず自分の学校を探してみてください。