· レガッタナビ編集(中村匠)

データで見る大学ボートの勢力図 2009-2025

全日本大学ローイング選手権のFinal A優勝は、17年間で202件(男子125・女子77)。男女別に数え直すと、「大学ボートの勢力図」はまったく別の2つの物語でした。

集計の前提

対象は2009年から2025年までの全日本大学ローイング選手権(旧・全日本大学選手権)。Final Aを1位で終えたクルーを「金メダル」として数え、男子種目と女子種目を分けて集計しました。合同開催レガッタに出た社会人クルーは除外し、大学のクルーだけが対象です。元データは大会結果アーカイブと同じものなので、疑わしい数字は個別のレースまで遡れます。

男子: 125個中67個。日大の一強は今も続く

男子の主役は迷いなく日本大学です。17年間の金125個のうち67個、割合にして54%。2位の仙台大学が10個なので、比較の相手がいません。

ただ、時期を分けると勢いの変化は見えます。前期(2009-2017)の日大は9年で47個、年平均5個以上。筆者が現役だった2010年代前半、男子のFinal Aで日大の金が5個を超える光景は「いつものこと」でした。後期(2018-2025)は20個で、首位のまま数を半分に減らしています。空いた分を拾ったのが仙台大(8個)、富山国際大学(5個)、日本体育大学あたりで、2019年と2020年は仙台大が、2023年は富山国際大が年間最多に立ちました。

2009-2017

  1. 日本大学 47
  2. 明治大学 5
  3. 早稲田大学 4
  4. 中央大学 4
  5. 富山国際大学 3

2018-2025

  1. 日本大学 20
  2. 仙台大学 8
  3. 富山国際大学 5
  4. 日本体育大学 4
  5. 立教大学 4

女子: 早稲田の牙城に、立命館が0から10個

女子は男子と勢力図が重なりません。累計首位は早稲田大学の30個で、女子の金77個の約4割。2015年には1年で4個を獲っています。

この8年で最も動いたのは立命館大学です。前期は0個。それが後期だけで10個と、早稲田(後期11個)とほぼ並ぶところまで来ました。明治大学が9個から3個に減らした一方、仙台大は女子でも2023年・2025年に年間最多。男子で起きた「新興勢力の台頭」が、女子では数年遅れて、より急な角度で起きている印象です。

2009-2017

  1. 早稲田大学 19
  2. 明治大学 9
  3. 日本体育大学 3
  4. 慶應義塾大学 2
  5. 東京経済大学 1

2018-2025

  1. 早稲田大学 11
  2. 立命館大学 10
  3. 仙台大学 6
  4. 明治大学 3
  5. 立教大学 3

年別の最多校を並べる

年ごとの最多校です。男子は2009年・2012年に日大が7個。この「1校で7個」は後期には一度も出ていません。女子は2015年の早稲田4個が最多で、近年は男女とも2〜3個で最多が決まる年が続きます。

男子の最多校(個数)女子の最多校(個数)
2009日本大学(7)慶應義塾大学(1)
2010日本大学(6)早稲田大学(3)
2011日本大学(5)日本体育大学(1)
2012日本大学(7)早稲田大学(3)
2013日本大学(5)早稲田大学(3)
2014日本大学(4)富山国際大学(1)
2015日本大学(3)早稲田大学(4)
2016日本大学(4)早稲田大学(3)
2017日本大学(6)明治大学(2)
2018日本大学(3)早稲田大学(2)
2019仙台大学(4)早稲田大学(2)
2020仙台大学(2)早稲田大学(3)
2021日本体育大学(1)立命館大学(2)
2022日本大学(6)早稲田大学(2)
2023富山国際大学(2)仙台大学(3)
2024日本大学(5)立命館大学(1)
2025日本大学(2)仙台大学(2)

まとめ

男子は「日大の一強が緩みつつ続く」、女子は「早稲田の牙城に立命館と仙台大が食い込んだ」。男女を混ぜた集計では、この2つの物語が互いを打ち消してしまいます。勢力図の話をするときは、まず男女を分ける。今回いちばんの収穫はこれでした。

気になった大学があれば、団体別ページでメダル推移を、検索ページで個々のレース結果を確認できます。この記事の集計は全部そこから再現できます。